『メトロイドⅡ RETURN OF SAMUS』(METROID Ⅱ: RETURN OF SAMUS) は、1992年1月21日に発売されたゲームボーイ専用ソフト。『メトロイドシリーズ』および『初期三部作』第2作目。
目次
概要
初代『メトロイド』の正統な続編であり、『メトロイドシリーズ』第2作目にあたるゲームボーイ専用ソフト。前作『メトロイド』では終盤にしか登場しなかった未知の生命体、メトロイドとの戦闘に主眼を置いた作風となっている。前作同様、広大なステージを探索し、パワーアップアイテムを収集してサムスの能力を強化して探索範囲を広げていく『2Dメトロイドシリーズ』特有の「探索」重視のゲーム性は健在。さらにアイテムの種類が追加され、サムスのアクションがパワーアップして前作よりも多彩になっている。
本作は、後に『メトロイドシリーズ』作品のキーキャラクターとなるベビーメトロイドとサムスの出逢いを描いた作品であり、シリーズの中でも特に重要な位置づけにあるゲームタイトルとなっている。後に本作のリメイク作品である『メトロイド サムスリターンズ』も製作された。
開発
本作は海外市場を意識して開発が進められており、国内での発売に先駆けてアメリカ・カナダなどで先行販売され、国内でも同一のソフトを販売していた。前作『メトロイド』ではゲーム中で日本語テキスト (カタカナ) が用意されていたのに対して、本作の使用言語が英語テキストのみとなっているのは、そのためである[1]。また、国内テレビコマーシャル映像では「アメリカで人気抜群のアクションソフト」とも紹介されていた。
本作はROMカセット内部にバッテリーバックアップ機能を搭載している。携帯ゲームソフトでありながら、ゲームの進行状況を自由にセーブできる。ステージ上にあるデータセーブユニットで任意のタイミングでゲームデータのセーブが可能であり、前作よりも利便性が高く、ゲームプレイがより快適になっている。
ゲームハードの変更に伴い、主にグラフィック面では大きな変化がみられる。ゲームボーイの描画色は4諧調モノクロに限定されているため、ファミリーコンピュータの前作『メトロイド』ではできた複雑な色彩表現は不可能であった。これを受けて、前作では単純なカラーチェンジで変化を表現していたアイテム「バリア」を、アイテムを取得すると「パワーアップサムス」となりパワードスーツの形状が変化する仕様に大幅に変更したものと考えられる。この特徴的なバリアスーツの外観・仕様は、以降の『メトロイドシリーズ』にも継承されることになる。
さらに可能な限りサムスのグラフィックをより緻密に表現しようと努めていたようで、スプライトの枚数が多く用意されている上に、左右方向で腕周りのパターンが異なるなど、前作のグラフィックと比較してリアリティの表現力がかなり向上している。
ストーリー
コスモ歴2000年代、銀河では惑星間の交流が盛んに行われ、かつてない繁栄の時代を迎えていた。 多くの惑星から代表者を集め、「銀河連邦」を設立し、銀河の平和につとめていた。 しかし、銀河にはまだ多くの未知の惑星が残されており、様々な事件も起きていた。そのひとつに宇宙戦士 サムス アランの活躍により解決された重大な事件があった。
20X5年ー 銀河連邦の調査船により惑星SR388で未知の生物が発見された。 それを採取した調査船は急遽、銀河連邦へ帰還の途についた、そのとき… 宇宙海賊の奇襲にあいその生物が奪われてしまったのだ。彼らはその生物を使い、銀河を征服しようと企てた。 その生物の名を「メトロイド」という。「メトロイド」とは一種の浮遊生命体であり、β線を照射するだけで増殖し、他の生物にとり付いてそのエネルギーを全て吸いつくす能力を持った、非常に危険な生物である。 サムスは銀河連邦の依頼により、宇宙海賊の要塞惑星ゼーベスに単身乗り込んだ。苦闘の末メトロイドを倒したサムスは、さらに要塞の中心であるマザーブレインをも破壊、その野望を打ち砕いたのだ。
この事件を重く見た銀河連邦は、再び調査船をSR388へ向かわせた。前回の調査で発見されていないメトロイドが存在しているかも知れないからだ。
そして数日後、緊急連絡が入った。 なんとSR388の地底を調べに向かった調査隊が失踪したというのだ。さらに救助に向かった部隊までもが…… 銀河連邦は、ただちに連邦警察の武装兵士から成る特殊部隊をSR388へ派遣し、地底に送り込んだ。しかし彼らもまた、わずかな資料を送ってきたぢけで消息を絶ってしまった。
銀河連邦は数少ない調査データを調べていくうちに、ついにメトロイドの存在を確認した。メトロイドはSR388の地下深くに潜んで、活動を続けているというのである。 この噂は、またたくまに広がり、再びメトロイドの恐怖が銀河全体をつつみ込んだ。
銀河連邦は緊急最高会議を開き、結論を急いだ。 出席した全員の考えはひとつ……。それは、サムス アランによるメトロイド絶滅指令だった。
SR388の地下世界は、ドーム状の空間が何層にも複雑に重なりあった構造をしており、いくつかは地上にもつながっていた。それは、かつて栄えた文明の遺跡のようでもあった。またそこにはSR388に生息するあらゆる生物がすみついていたのだ。
サムスは銀河連邦からの指令を受け、惑星SR388へと向かった。
サムスとメトロイドの対決が、再び始まろうとしている。 銀河がメトロイドの恐怖からのがれるために……。
ゲームシステム
- サムスを操作してSR388の広大な地下洞窟 (ステージ) を探索して各地に潜むメトロイドを探し出し、これを殲滅することがゲームの主な目的となる。地下洞窟はいくつかのエリアに分けられており、各エリア間はエネルギーを吸収する危険な液体で満たされ、サムスの進行を阻んでいる。規定数のメトロイドを撃破すると地震が発生し、液体の水位が増減して行動範囲が広がるようになっているため、プレイヤーは積極的にメトロイドを倒す必要がある。
- ゲーム下画面にはサムスのエネルギー残量、ミサイルの残弾数、そしてメトロイドレーダーが設けられている。メトロイドレーダーは、ステージ全体に潜伏しているメトロイドの残り個体数を表示しており、メトロイドを撃破するとレーダー数値が減少していく(STARTボタンを押してポーズをかけると、サムスのいる該当エリア内の残り個体数を確認することができる) 。敵の攻撃や地形によってダメージを受けると、サムスのエネルギーが減少していく。エネルギーが0になるとサムスが消滅し、ゲームオーバーとなる。ゲームオーバー時には自動セーブなどは行われず、セーブデータを選択して最後にセーブした地点からゲームを再開することになる。
操作方法
サムスの操作
- 『メトロイド』と比較してサムスの操作性がかなり改善され、ゲームプレイが快適になっている。前作のサムスは常に直立状態であり、足元の敵に対してはボムを使用して攻撃する必要があったが、本作では十字ボタン下を1回押すとサムスがしゃがみ動作を行い、しゃがんだ状態のままビーム・ミサイルを撃つ「しゃがみ撃ち」が可能になった。しゃがみ状態でさらに十字ボタン下を1回押すと、モーフボールに変形する。また、空中でも十字ボタン下を押すことで下に向けてビーム・ミサイルを撃つことができるよう改善されている。
操作 | 対応キー |
---|---|
移動 | 十字ボタン左右 |
ジャンプ | Aボタン |
回転ジャンプ | 十字ボタン左右 + Aボタン |
スペースジャンプ | Aボタン (回転ジャンプで落下中) |
ビーム/ミサイルの発射 | Bボタン |
ビーム/ミサイルの切り替え | SELECTボタン |
銃口を上に向ける | 十字ボタン上 |
銃口を下に向ける (ジャンプ中) | 十字ボタン下 |
しゃがむ | 十字ボタン下/十字ボタン上 (丸まり状態) |
丸くなる | 十字ボタン下 (しゃがみ状態) |
爆弾を設置する | Bボタン (丸まり状態) |
スパイダーボールでくっつく | 十字ボタン下 (丸まり状態) |
スパイダーボール解除 | Aボタン (丸まり状態) |
ゲームの一時中断/再開 | STARTボタン |
データのセーブ | STARTボタン (セーブポイントの上で) |
ゲームのリセット | Aボタン + Bボタン + STARTボタン + SELECTボタン |
タイトル画面での操作
操作 | 対応キー |
---|---|
ファイルの選択 | 十字ボタン左右 |
ゲームを始める | STARTボタン |
ファイルの消去 | SELECTボタン + 十字ボタン下 + STARTボタン |
ステージ
- メトロイドが発見された未開の惑星、SR388が冒険の舞台となる。スターシップが降り立った惑星の地表部から洞窟内部に潜入し、地下深くに存在する広大な迷宮を探索していくこととなる。地下洞窟にはかつて惑星に居住していた鳥人族の遺跡が存在し、サムス能力を強化するパワーアップアイテムが存在する。地下洞窟の各地に出現する一定数のメトロイドを撃破すると地震が発生し、酸液の水位が増減して探索可能な範囲が変動する仕組みになっている。
- SR388の地下洞窟は、アイテム・メトロイドなどが配置された比較的広い空間 = エリアと、エリア間を繋ぐ長大な通路とで構成されている。ゲーム本編や取扱説明書では、各エリアの名称などは特に付けられていない。双葉社・ケイブンシャが発売した攻略本では各エリアに名称がつけられている。本稿では後年発売されたリメイク作品『メトロイド サムスリターンズ』を参照したエリア名称を紹介する。
- 地表 - ゲームのスタート地点。スターシップが着陸した惑星の地表エリアで、地下洞窟への入口がある。
- エリア1 - 最初に訪れる第1のエリア。アルファメトロイドと戦闘を繰り広げる。
- エリア2 - 初めてガンマメトロイドと戦闘する第2エリア。アイテムが多数存在する。
- エリア3 - 砂のような地形が多い第3エリア。アイテムも多数存在する。
- エリア4 - 地震により行動範囲が変動する第4エリア。出現するメトロイドの個体数が少ない。
- エリア5 - ゼータメトロイドが初登場する第5のエリア。
- エリア6 - オメガメトロイドと初めて戦闘する第6エリア。地震により行動範囲が変動する。
- エリア7 - 終盤に訪れる第7エリア。物々しい雰囲気に包まれた洞窟地形が広がる。
- エリア8 - クイーンメトロイドが待ち受ける最終エリア。
アイテム
- 本作では様々なアイテムが新たに追加された。スパイダーボールは『Ⅱ』を象徴するユニークなアイテムで、サムスの探索範囲を大きく広げることに貢献した。スプリングボール・スペースジャンプなどのアイテムは、サムスの移動力を向上させ、ゲームプレイをより快適にしている。スペイザー・プラズマビームは中盤に登場する強力なアイテムで、ビームの攻撃性能を大幅に強化することが可能。ただし、前作と同じく換装式のアイテムとなっており、複数の性質を組み合わせられる重ね掛け方式となるのは、次作『スーパーメトロイド』以降となる。(本作で初めて登場したアイテムには「*」を付けている)
- ミサイル - 30発初期装備。タンクは全部で22個(1つで10発増加)。最大数は250発。
- エネルギータンク - 全部で6個だが、エネルギーの最大値は599(タンク5個分)まで。
- 丸まり - 初期装備。
- ボム
- スパイダーボール*
- スプリングボール* - 取得時にアイテム名が表示されない。
- アイスビーム - ビーム装備は切り替え式。
- ウェイブビーム
- スペイザー*
- プラズマビーム*
- ハイジャンプブーツ
- バリア
- スペースジャンプ*
- スクリューアタック
他機種版
- ゲームボーイ専用ソフトの本作は様々なハードに対応しており、各ハードでカラーパターンを変更するなどの特殊な操作を行うことが可能であった。
スーパーゲームボーイ
- 1994年6月14日に発売されたスーパーファミコン用周辺機器「スーパーゲームボーイ」を利用して、本作をテレビ画面で遊ぶことが可能。
ゲームボーイカラー/ゲームボーイアドバンス
- 本作は任天堂開発のソフトであるため、GB専用ソフトとの互換性があるゲームボーイカラー (GBC) /ゲームボーイアドバンス (GBA) にも対応している。本ソフトをGBCで起動する際、十字ボタンとA・Bボタンを組み合わせることで全12種類のカラーパターンを選択することができる。
- GBAでも同様に、12種類の別のカラーパターンに変更することができる。さらにGBAでは、Lボタン・Rボタンを押して画面サイズを変更することも可能。テレビ画面でGBAソフトのプレイを可能にするゲームキューブ用拡張機器「ゲームボーイプレイヤー」にも対応しており、カラーパターン変更や画面の調整など、GBAと同様の操作を行うことが可能となっている。
- なお、ゲームボーイカラーには一部Nintendo of America (NOA) のDan Owsenは、ゲームボーイカラー発売前に『メトロイドⅡ』専用の緻密で複雑なカラーパレットの導入を検討していたと主張しているが、実装されることはなかったようである[2]。また、1998年4月にドイツで発行されたクラブニンテンドーマガジンにも、ゲームボーイカラー版『Ⅱ』の色鮮やかなスクリーンショット画像が掲載されていた。
ニンテンドウパワー版
- 1997年9月30日から2007年2月27日まで、日本国内で任天堂が実施していたゲームソフト書き換えサービス「ニンテンドウパワー」でのバージョン。2000年3月1日から配信された、ゲームボーイソフト75タイトルの1つとして購入できた。価格は800円。商品番号194344。遊び方シート番号03C。
ニンテンドー3DS バーチャルコンソール
- 2011年9月28日配信開始。定価411円。オリジナルとほぼ同一だが、3DS移植に伴いVCにしかない以下の追加機能が用意されている。
- 「まるごとバックアップ機能」が標準搭載。ゲーム内のセーブシステムを利用せず、任意のタイミングで途中経過の保存が可能。
- SELECTボタンの代替として、Yボタンが使用できる。
- Rボタン + Lボタン + Yボタン の操作で、ゲームボーイ特有の緑色の画面に変更可能。
- また、『メトロイド サムスリターンズ』発売時に海外限定で販売された『LEGACY EDITION』では、『Ⅱ』のソフトをモチーフとしたパッケージと、『Ⅱ』VCのダウンロードコードが記載されたカードが同梱されていた。
広報
テレビコマーシャル
- 本作の紹介CMで使用された『メトロイド オモロイド』という駄洒落を使ったキャッチフレーズは、後発のメトロイドシリーズでも度々使用されている。
ギャラリー
紹介映像
脚注
- ↑ 「ケイブンシャの大百科別冊 ゲームボーイ必勝法スペシャル メトロイドⅡ リターン オブ サムス」P.44
- ↑ The MDb Interviews Dan Owsen
関連項目
- 『メトロイドⅡ』クリーチャーリスト
- 『メトロイドⅡ』スタッフクレジット
- 『メトロイドⅡ』エンディング詳細
- メトロイド サムスリターンズ - 『Ⅱ』のリメイク作品。
- Another Metroid 2 Remake - 有志ファンが独自に制作していた『Ⅱ』のリメイク作品。
外部リンク
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