この記事はゲームソフトの「メトロイドプライム」について記述されています。 - ボスクリーチャーの「メトロイドプライム」については、メトロイドプライム (クリーチャー)をご覧ください。
“ | The cosmos. In the vast universe, the history of humanity is but a flash of light from a lone star. The life of a single person should be lost in space and time. But among the stars, there is one light that burns brighter than all others: the light of Samus Aran. Her battles extend beyond her life, and etch themselves into history. Here, another chapter of that history will be written. |
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メトロイドプライム オープニング |
『メトロイドプライム』(METROID PRIME) は、2003年2月28日に発売されたゲームキューブ専用ソフトである。『メトロイドシリーズ』第5作目、『メトロイドプライムシリーズ』第1作目、フェイゾンを巡る戦いを描いた『プライム三部作』の第1作目にあたる。
目次
概要
1994年発売の『スーパーメトロイド』から約9年ぶりに発売された、据え置きゲームハード向けの『メトロイドシリーズ』作品。任天堂情報開発本部とレトロスタジオのコラボレーションにより誕生した共同開発作品で、同時期に発売されたGBA専用ソフト『メトロイド フュージョン』との連動要素も用意されている。
従来の『メトロイドシリーズ』のような横スクロールアクションからゲームジャンルを一転、サムスの視点でゲームプレイを行う一人称視点のアドベンチャーゲームとなっている点が、本作最大の特徴である。シリーズで初めて3DCGモデルが使用され、無数の立体空間で構成された広大なマップを練り歩き、隠されたアイテムを収集してサムスの能力を強化していくという、過去の『メトロイドシリーズ』の「探索」を重視したゲーム性が忠実に再現されている。アームキャノンを使用したFPS (ファーストパーソンシューター) のようなエキサイティングな戦闘だけでなく、従来のシリーズ作品でお馴染みのモーフボールを使用した独特なアクション、新たに実装されたバイザーシステムを利用した謎解きなど、他のFPSゲームとは一線を画す『メトロイドプライム』独自のゲーム性を確立することに成功している。
本作は海外市場を中心に非常に高い評価を受け、ゲームキューブ専用ソフトの最高傑作の1つとしてゲームファンに記憶されている。後に『メトロイドプライムシリーズ』としてシリーズ化され、『メトロイドプライム2 ダークエコーズ』『メトロイドプライム ハンターズ』などといった、数多くの続編やスピンオフ作品を輩出することになった。北米版・日本版・欧州版などのローカライズおよび各種調整を施した別バージョンや、『Wiiであそぶ メトロイドプライム』『メトロイドプライム トリロジー』などの他機種移植版なども存在する。
開発
前途多難なスタート
- 『メトロイドプライム』は任天堂情報開発本部を中心とした任天堂スタッフの指示の下、レトロスタジオにより制作された共同開発作品である。レトロスタジオ社は1998年に『時空戦士テュロック』『バイオレンスキラー』などの良質FPSゲームを生み出したIguana Entertainment社の創設者、Jeff Spangenbergと任天堂の共同出資によって設立され、後に任天堂の完全子会社となり『メトロイドプライム』をはじめ様々なゲーム作品の開発に関わることになる。
- 米・テキサス州オースティンに事務所を設立したレトロスタジオ社は、当時任天堂の最新ゲームハード、ニンテンドーゲームキューブ向けのゲームソフト開発に乗り出した。しかし当時のレトロスタジオは、小規模な会社であるにも関わらずスタッフの流出が常態化しており[1]、人員不足によって頻繁に制作プロジェクトが頓挫するなど、十分な開発環境が確保されていない苦悩の状態にあった。そのような過酷な状況下、FPSゲーム『アクション・アドベンチャー (Metaforce)』、サッカーゲームの『Retro NFL Football (仮称)』、自動車格闘ゲームの『Car Combat (Thunder Rally)』、RPG『Raven Blade』の4つのゲームソフト企画を立ち上げ、開発プロジェクトを同時進行していたという。しかし、2000年4月に現地の視察に訪れた任天堂の宮本茂は、FPSゲーム『アクション・アドベンチャー』が多少印象に残っただけであり、これら4つのタイトルに特に興味をそそられることはなく、このまま開発を続けても商品化は難しいと厳しい判断を下した。レトロスタジオ社員の間で宮本茂は「デス・スターを訪問する皇帝」などと揶揄され、ひどく恐れられていたという。
- その後宮本は、レトロスタジオが制作中であった『アクション・アドベンチャー』の持つSF要素の強い世界観を鑑みて、同じくハードSFの世界観を舞台にした『メトロイド』の新作開発を提案した。『メトロイド』のフランチャイズは海外で絶大な人気を誇るものの、『スーパーメトロイド』を最後に長らく続編が途絶えていた状況であったため、任天堂の看板タイトルとしてリブートする絶好のチャンスであると踏んだのである。こうして前述した4つの先行企画に加えて、『メトロイドプライム』の原型企画も始動することになった。
- 2000年に入り、レトロスタジオは『メトロイドプライム』の開発に専念するため、それまで進行させていた『アクション・アドベンチャー』『Retro NFL Football』『Car Combat (Thunder Rally)』の3つのゲーム企画を完全に凍結。E3に出展されるなど比較的順調に制作が進行していた『Raven Blade』は、理想のRPGを追求するあまり完成の目途がつかない好ましくない状況にあったため、2001年7月19日に開発の中止が発表された。こうして当初5つあったゲーム企画の大半が中止となり、最終的にレトロスタジオは『メトロイドプライム』の開発企画だけに注力することになった。
宮本茂の「ちゃぶ台返し」
- 黎明期の本作は、従来の『メトロイドシリーズ』のように三人称視点でサムスを操作するTPS (サードパーソンシューター) 方式での開発が進行していた。これは『スーパーメトロイド』などでサムスが行っていたモーフボールへの変形やスクリューアタックなどのアクションを再現したいという開発スタッフ側の強い要望があったためである。しかしその後、宮本の指示を受けて、サムスの主観視点で操作するFPS (ファーストパーソンシューター) 方式へと大幅に変更された。3Dモデルで構成された立体空間内で『メトロイド』特有の探索を行う場合、対象を間近で見られる一人称視点の方がより直観的で最適だと判断されたことや、同時期にレア社が発売したNINTENDO64専用TPSゲーム『スターツインズ』で難解なカメラの不具合が発生したことなどが、仕様変更の主な理由として挙げられている。この「ちゃぶ台返し」とも言える宮本の大胆な指示によって、レトロスタジオ側がそれまでに作り上げたゲームシステムの大半が水泡に帰すこととなった。当初の三人称視点のゲームシステムは、モーフボール変形時のアクションに流用された。スクリューアタックのアクションは本作では採用が見送られ、後に制作された『メトロイドプライム2 ダークエコーズ』で改めて実装されることになる。
さらに他の主観視点のゲームとの差別化を図るため、視点操作とキャラクターの移動操作を部分的にオミットして初心者でもスティック1つで直感的な操作ができる工夫を施したり、
ストーリー
Unidentified distress beacon
has been tracked to a derelict space vessel
in orbit above Tallon IV.
その正体不明の救難信号は
惑星ターロンⅣの軌道上に浮かぶ
放棄された大型宇宙船から発信されていた…
コスモ歴20X5年、銀河連邦の調査船は惑星SR388で謎の生命体「メトロイド」を発見した。ところが、調査船は銀河連邦本部への帰還中、スペースパイレーツに奇襲され、全滅。メトロイドは要塞惑星ゼーベスへ持ち去られてしまう。
銀河連邦は腕利きのバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)、サムス・アランにスペースパイレーツとメトロイドの殲滅を依頼した。サムスは惑星ゼーベスへ単身潜入。苦闘の末、ゼーベスを統括していた機械生命体マザーブレインをも破壊し、任務を完了した。
スペースパイレーツの野望は阻止されたかにおもわれたが…
惑星ターロンⅣ軌道上にて
サムスにより全滅したと思われたスペースパイレーツだったが、惑星ゼーベス軌道上の宇宙船内で戦火を逃れた者たちがいた。彼らは2つの部隊に分かれ、一方は要塞の再建をめざしてゼーベスへ戻り、また一方は新たな惑星で再興すべく、凄まじいエネルギー反応を感知した惑星ターロンⅣに降りたった。
その惑星で、彼らは鳥人文明の痕跡をありありと残す遺跡の数々を発見する。やがて、謎のエネルギーが、神殿跡の遺跡地下に封印された隕石から、漏れ出していることをつきとめる。
「フェイゾン」と名づけられたこのエネルギー物質には、生物を変異させる特異な性質があった。この特性に着目したスペースパイレーツは、フェイゾンによってターロンⅣの生物を変異させる実験を開始する。
同時に、フェイゾンの"核"と推測される隕石を入手するため、神殿地下への侵入を試みたが、封印の謎が解けず、隕石に近づくことすらできずにいた。
そして今、サムスが乗ったスターシップのレーダーは、惑星ターロンⅣ軌道上でスペースパイレーツの宇宙船を捕捉している…
ゲームシステム
操作方法
- サムス・アランの操作
通常状態 | モーフボール状態 | |
---|---|---|
コントロールスティック | 移動 | |
Aボタン | ビームの発射 チャージビーム |
ボム |
Bボタン | ジャンプ | ブーストボール |
Xボタン | モーフボール | モーフボール解除 |
Yボタン | ミサイルの発射 チャージコンボ |
パワーボム |
十字ボタン | バイザー切り替え | - |
Cスティック | ビーム切り替え | - |
Rトリガー | 照準モード | スパイダーボール |
Lトリガー | ロックオン スキャン グラップリングビーム |
- |
START/PAUSEボタン | ポーズ画面の表示 | |
Zボタン | マップ画面の表示 |
- メニュー画面の操作
コントロールスティック | 項目の選択 |
十字ボタン | " |
Aボタン | 項目の決定 |
Bボタン | 項目のキャンセル |
ステージ
ゼーベスと同じ星系に属する惑星ターロンⅣが舞台となる。全7種類のバリエーション豊かなワールドが用意されており、エレベーターなどを介して各ワールドが接続され、広大なマップを形成している。
- フリゲートオルフェオン
- ターロンⅣの軌道上に浮かぶスペースパイレーツの戦艦。艦内には実験施設も完備され、フェイゾンを利用した様々な生体研究が行われていた。
- ターロンオーバーワールド
- 惑星の地表部に位置する、高温多湿のジャングル地帯。常に雨が降り続き、全域に渡って無数の植物群や巨大な樹林が広がっている。オルフェオンから脱出したサムスがスターシップを着陸させたエリアで、
- チョウゾルーインズ
- ターロンオーバーワールドに降り立ったサムスがまず初めに探索することになる古代遺跡エリア。はるか昔にチョウゾの都市があった地域であり、エリア内には彼らの残したメッセージやサムスを強化するパワーアップアイテムなどが多数存在する
- アイスバレイ
- 雪と氷に閉ざされた極寒地帯。常に雪が降り続く寒冷環境で、環境適応した様々な生物が徘徊している。スペースパイレーツの実験施設の存在も確認されている。
- フェイゾンマインズ
- パイレーツのフェイゾン採掘施設本部が設置されたワールド。ターロンⅣにおけるパイレーツの本拠地で、多数の戦闘員や大型兵器、実験施設などが完備されている。地下深くへと続く多層構造のエリア。
- インパクトクレーター
- かつて謎の巨大隕石が落下した地点。この地点から溢れ出したフェイゾンが様々な災厄を引き起こしたため、チョウゾによって厳重に封印されていた。封印を解除するためには、各ワールドに隠された全12個のチョウゾアーティファクトが必要となる。
アイテム
- エネルギータンク - 全部で14個。
- ミサイル - 全部で50タンクで最大250発。
- モーフボール
- ボム
- チャージビーム
- バリアスーツ
- ブーストボール
- スペースジャンプ
- ウェイブビーム
- チャージコンボ
- サーモバイザー
- スパイダーボール
- アイスビーム
- グラビティスーツ
- パワーボム - 初期4発。タンクは4個(1発/個)で最大8発。
- グラップリングビーム
- Xレイバイザー
- プラズマビーム
- フェイゾンスーツ - 同時にフェイゾンビームも入手。
- アーティファクト - 全部で12個。クリアに必須。
ログブック
メトロイドプライムにはログブックと呼ばれる収集要素がある。これは、スキャンバイザーによって得られた情報を記録する機能で、同要素は据置機の三部作およびメトロイドプライム ハンターズに搭載された。メトロイドプライムのログブックには以下の項目が記録される。
別バージョン・他機種版
エンディング・クリア特典
- エンディングは全3種類。ゲームクリア時のアイテム回収率によって決定される。
No. | アイテム回収率 | エンディング内容 |
---|---|---|
01 | 0~74% | 通常エンディング |
02 | 75%~99% | サムスがマスクを取り素顔を見せる |
03 | 100% | 続編の伏線となる隠しムービー |
- 特定の条件を満たすことで、メニュー画面に『イメージギャラリー』の項目が追加される。『プライム』や『フュージョン』のイラストや設定資料を閲覧することができる。
ナンバー | 出現条件 |
---|---|
01 | スキャン率50%を達成 |
02 | スキャン率100%を達成 |
03 | アイテム回収率100%を達成 |
04 | 難易度「ハード」をクリア |
ギャラリー
関連項目
脚注
- ↑ 設立当初 (1998年) の従業員数は約120人だが、『メトロイドプライム』発売直後 (2003年2月) には50人弱にまで減少している。
外部リンク
メトロイドシリーズ | |
---|---|
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プライム | メトロイドプライム | ダークエコーズ | ピンボール | ハンターズ | コラプション | Trilogy | フェデレーションフォース |
クロスオーバー | 大乱闘スマッシュブラザーズ(初代 | DX | X | for 3DS | for Wii U | SP) |
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