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メトロイドプライム ピンボール』(METROID PRIME: PINBALL) は、2006年1月19日に発売されたニンテンドーDS専用ソフト。『メトロイドシリーズ』第8作、および『メトロイドプライムシリーズ』第3作。GCで発売された『メトロイドプライム』の世界観をピンボールゲームに落とし込んだ異色作となっている。

解説[]

Pirate Frigate Table Official Screenshot 01 MPP

モーフボールをフリッパーで弾くピンボールゲーム

イギリスのFuse Games社との共同開発作品。ニンテンドーDSの上下画面を見ながら遊ぶ新機軸のSFピンボールゲーム。ゲーム画面と連動してプレイヤーの手に振動を伝える周辺機器「DS振動カートリッジ」同梱で発売された。振動カートリッジは、GBA用スロットに挿し込んで使用する。
メトロイドプライム』のストーリー・世界観がピンボールゲームに落とし込まれており、ボール状態サムスをフリッパーで弾いて遊ぶという、他のピンボールには無いユニークなスタイルが敷かれている。
本作最大の特長は、古典的なピンボールゲームに "戦闘" の概念を盛り込んでいる点にある。各テーブルでは大小様々な敵キャラクターが登場。様々な手段でボール状態のサムスを攻撃してくる。これに対してプレイヤー側も、ボール状態での体当たりやボムの起爆、コンバットモード時のビーム/ミサイル発射等で応戦が可能。巨大なボスとの戦闘が待ち受けるテーブルも存在。『メトロイド』の世界観を堅実に踏襲した、バトルアクション満載のSFピンボールゲームに仕上がっている。

開発[]

プロジェクト始動[]

Mario Pinball Land 1st Stage ETC

『スーパーマリオボール』(GBA・2004)

任天堂とFuse Games社の関係は2000年代前半から始まった。Fuse Gamesはピンボールゲーム開発のベテランであるエイドリアン・バリット、リチャード・ホロックスの2名によって2002年に設立、創業から間もない無名のベンチャー企業であった。エイドリアンは自社の知名度向上にはインパクトのある新作ゲームが必須だと考え、任天堂IP『スーパーマリオ』を題材としたピンボールゲームを発案。実際にプレイ可能なデモソフトを開発した上で、任天堂 (Nintendo of America) にこのアイディアを売り込んだ[1]
任天堂側はこの提案を好意的に捉え承認、2003年に最初の共同開発契約が結ばれた。当時任天堂の代表取締役社長だった岩田聡は、プログラマー時代にファミコン専用ソフト『ピンボール』のプログラムを担当しており、同ジャンルに精通している人物だったが、Fuse Games社が開発したソフトを見て「これは凄い技量だ、お任せしたら、いい物が出来る」と思ったという。こうして開発されたのが、2004年発売のGBAソフト『スーパーマリオボール』だった[2]
『スーパーマリオボール』発売後、その実績を見込んで、任天堂はニンテンドーDS向けピンボールゲーム新作の開発をFuse Gamesに依頼。DSの縦に連なった2画面をピンボール台に見立てることが可能と見たヒロ山田は、DS向けピンボールゲームを制作した場合どのような物ができるか、Fuse Games側に打診したという[2]。ちなみに当時の任天堂がピンボールゲーム開発に前向きだったのは、岩田聡が大のピンボールファンだったことも少なからず影響しているという[3]

『メトロイドプライム』の世界観再現[]

『メトロイドプライム』の世界観を使うことは開発初期から決定しており、これは任天堂側から提案されたものだった。偶然にも、Fuse Games側でも『メトロイド』を次回作の候補の1つと考えていたため、エイドリアンは任天堂から「メトロイドの世界観でクール、かっこいいピンボールを」と要望を貰った時とてもエキサイトしたと語っている[2]
任天堂はFuse Games社に対して、DS向けソフトウェア開発キットと資金を提供。最初のプロトタイプとして制作されたのはフリゲートオルフェオンのテーブルで、これは「ハイテクで宇宙的な雰囲気を強く持ったものを作りたい」という思想から選出されたものだった。完成したプロトタイプを見た任天堂側の評価は上々で『メトロイド』の世界観を的確に再現できていると判断。サムスが起き上がってラピッドシューティングを行うコンバットモード実装を依頼したところ、即座に実現してくれたので「これは行ける」と確信したという[2]
ゲームの世界観については、その後もソフト開発時に任天堂側から適宜要望が出された。本作のスーパーバイザーを務めた寺崎啓祐はその具体例として、ゲームの世界観を『メトロイドプライム』に限定して欲しい (= 他の『2Dメトロイドシリーズ』作品等は参照しない) こと、アイテム入手でサムスの能力がパワーアップする原作要素をうまく組み込んだ、かっこいいSFピンボールゲームにして欲しいこと等を挙げている[2]
なお本作は『メトロイドプライム』の世界観を基にしているが、原作ゲームの開発元であるレトロスタジオは、3Dモデル・オーディオ等の提供を除いて開発にはほとんど関与していない[4]

ピンボールゲームとしての完成度向上[]

任天堂はFuse Games社の手腕を信頼しており「ベーシックなピンボールとしても長く飽きずに遊べるものにして欲しい」という要望を出した上で、ゲーム開発を一任していた。『メトロイドプライム』からどの要素をピックアップして盛り込むかの判断もFuse Gemes側に委ねており、その担当者であったカイ・レムロッドは「とにかく(ボールを打って)攻めた時に、なにか少しでも反応が戻ってくるようなもの」を目指したと語っている[2]
まず最初に制作されたのは2種類のメインテーブル「フリゲートオルフェオン」「ターロンオーバーワールド」だった。全テーブルに共通の機能 (フリッパー/バンパー/インレーン等) を用意した後、2つの画面間を移動するボールの物理法則調整が行われた。DSの2画面の間には継目があり、ユーザーのプレイ体験を良くするためには、この継目を通過するボールの速度を、通常よりも速めに設定する必要があったという。この調整にはかなりの工数を要しており、相当量のプロトタイプが作成された[3]
各テーブルの基礎設計は、専門家であるエイドリアン・バリットによって行われた。まず最初に装飾の無い灰色のテーブルが制作され、ボールの軌道・諸々の物理法則の確認が行われる。テスト完了後、4名のアーティストから成るアートチームにコースデザインが連携され、テーブルに『メトロイドプライム』の諸要素をどのように落とし込むかが決定されていった。なお、メインテーブル2つと比較すると、他のテーブル制作コストははそこまで高くなかったようである[3]
本作はゲームの物理エンジンのみ3Dを採用しており、グラフィックは事前にレンダリングされた2D画像を使用している。DSのマシンパワーは3Dモデルを動かすには不十分なため、このような手法が取られた。全ての画像をメモリに収めるため、色数も削減されている。ただ、この制約はアートチームにとって幸いしており、ゲーム画面をより華やかにするための様々な工夫を施すことができた。ボスの攻撃エフェクト等もプレイ画面が派手になるよう、原作要素を重視しつつ自由な発想でデザインされている[3]
また任天堂側からの評価として、Fuse Games社の作るゲームはバグが少ないというものがあった。これに関してリチャード・ホロックスは、製品チェックを入念に行っており、基本的に必ずテストコードを書いていたこと、プログラマーが2人1組になって作業を行う「ペアプログラミング」でダブルチェックを行っていたことが理由ではないかと分析している[2]

その他[]

本作はDS振動カートリッジ同梱で発売されたが、これには理由がある。元々別ラインでニンテンドーDSにメカニカルな振動機能を追加する周辺機器の開発が進められており、それを知った岩田聡が「ピンボールにはこのメカニカルな振動が合うんじゃないか」として、ソフト同梱という形式でリリースされたという[2]。その後、DS振動カートリッジは任天堂公式サイトでも単品販売された。
本作以後、現在に至るまで『メトロイドプライム ピンボール』続編や、他の任天堂IPピンボールゲームは開発されていない。Fuse Games側では他の任天堂IPのピンボール制作も検討されていたようだが、実現には至らなかったという[3]

ゲームモード[]

Menu Screen MPP

メニュー画面

モーフボールを落とさないようフリッパーで弾き、ハイスコアを目指すのが基本ルールとなる。敵の攻撃を受けてライフ (サムスの体力) が0になるか、テーブル最下部の穴から落下するとモードオーバーとなり、残機が1つ減る。残機が0になるとミッションオーバーでゲーム終了となる。
オートセーブ機能を搭載しており、ゲームの進行状況は都度、自動的にセーブされる。

マルチミッション[]

1人用モード。本作のメインストーリーモード。『メトロイドプライム』の各ワールドを題材とした多種多様なテーブルが用意されており、各テーブルでスコアを稼ぐと「アーティファクト」を入手可能。複数テーブルを行き来して全12個のアーティファクト収集後、最終ボスを撃破することがゲームの目的となっている。
最初に選択可能なテーブルは「フリゲートオルフェオン」「ターロンオーバーワールド」の2種類。別テーブルへの移動には条件が設定されており、下記いずれかを達成する必要がある。
ミニゲーム全発動
各テーブル毎に設定されているミニゲームを全て発動する[5]と、モードソーサーに「↑」アイコンが表示され、そこにボールを入れるとテーブルセレクト画面に遷移。別テーブルへの移動が可能になる。
ボスの撃破
ボスとの戦闘に勝利すると、自動的にテーブルセレクト画面に遷移。別テーブルへの移動が可能になる。
最終ボスを撃破すると、スタッフクレジット後に2周目プレイが可能。各テーブルのレベルが上がり難易度が向上している。また、一部テーブルでフォースボールが常時使用可能となっている。

シングルミッション[]

1人用モード。任意のテーブルをプレイヤーが選択して遊ぶ練習用モード。
ルールはマルチミッションとほぼ同一だが、他テーブルへの移動は無い。1つのテーブルでどれだけハイスコア・クリアタイムを更新できるか競うモードとなっている。記録更新を達成すると、ミッションオーバー時にグッドプレイ!画面に遷移。3文字の名前入力と共にハイスコアを記録できる。
最初に選択可能なテーブルは「フリゲートオルフェオン」「ターロンオーバーワールド」の2種類。マルチミッションの進行度に応じてテーブルが追加されていく。

ワイヤレスミッション[]

DSのワイヤレス通信機能で対戦するモード。DSカードを挿し込んだ親機1台との通信により、最大2~8人でのダウンロードプレイが可能。
複数のプレイヤーで同時にピンボールゲームを行い、100,000ポイント先取したプレイヤーが優勝となる。なお、ワイヤレスミッションで遊べるテーブルは「ラヴァケイブス」のみ。それ以外のテーブルは選択できない。

操作方法[]

ピンボールの操作[]

コンバットモード時の操作には「*」を付けている。
操作 対応キー
左フリッパー
左を向く*
Lボタン / 十字ボタン左
右フリッパー
右を向く*
Rボタン / 十字ボタン右 / Aボタン
ナッジング
(ピンボール台を揺らす)
DS下画面のタッチ
ボム設置 Bボタン
パワーボム設置 Yボタン
ミサイル発射* Xボタン
ポーズ STARTボタン

メニュー画面の操作[]

操作 対応キー
項目の選択 十字ボタン
項目の決定 Aボタン / STARTボタン
キャンセル Bボタン
データの全削除 ABYXLRボタン同時押しでゲームを起動

テーブル[]

メトロイドプライム』でサムスが探訪した惑星「ターロンⅣ」がゲームの舞台となっている。原作エリアをモチーフとした全7種類のテーブルが存在。
フリゲートオルフェオン
最初に選択可能なテーブル。
ターロンオーバーワールド
最初に選択可能なテーブル。
アイスバレイ
マルチミッションでは、初回プレイ時にパワーボムを入手可能。ボス「サーダス」との戦闘がある。
フェイゾンマインズ
マルチミッションでは、初回プレイ時にミサイルを入手可能。ボス「オメガパイレーツ」との戦闘がある。
アーティファクトテンプル
全12個のアーティファクトを収集すると解放される特殊テーブル。メタリドリーの妨害を掻い潜り、12個のトーテムにボールを入れてワープ装置を起動する。
インパクトクレーター
アーティファクトテンプル突破後に解放される最終テーブル。マルチミッションでは、初回プレイ時にフォースボールが入手可能。ボス「メトロイドプライム」との戦闘がある。
ラヴァケイブス
ワイヤレスミッション専用テーブル。

アイテム[]

装備アイテム
  • ボム - 初期装備。
  • パワーボム - アイスバレイで入手。最大1発しか所持できない。
  • ミサイル - フェイゾンマインズで入手。最大所持数4発。コンバットモードでのみ使用可能。
  • フォースボール - インパクトクレーターで入手。
補給/収集アイテム

クリーチャー[]

メトロイドプライム ピンボールに登場するクリーチャー一覧
| オメガパイレーツ | サーダス | ストライカー | スペースパイレーツ | ターロンビートル | トライクロプス | パッファー | パラサイト | バロワー | ブラッドワスプ | メタリドリー | メトロイド | メトロイドプライム

ミニゲーム[]

モードソーサーにモーフボールを入れると「ミニゲーム」が発動する。ミニゲーム毎に達成条件が決められており、それをクリアすると報酬としてアーティファクト (もしくはスペシャルトークン) を獲得可能。ミニゲーム詳細は各記事を参照。

特典[]

エキスパートモード[]

詳細記事:エキスパートモード
マルチミッションをクリアすると高難易度の「エキスパートモード」が選択可能になる。

広報[]

テレビコマーシャル[]

日本国内では全2種類のテレビCM映像が放送された。DSの特徴である2画面を活用している点、バトルアクション満載の "攻めてくる" ピンボールゲームである点が強調された内容となっている[6][7]。ナレーションは郷里大輔が担当。
CMの最後にはプレイヤーの反応をまとめたダイジェスト映像と共に、実際のプレイ体験映像をまとめた当時のDS公式サイト「Touch-DS.jp[8]」への誘導がなされている。

オフィシャルデータ[]

取扱説明書[]

『メトロイドプライム』がピンボールになった!
『メトロイドプライム ピンボール』は、サムスが変形したモーフボールをフリッパーで弾くピンボールゲームです。敵や仕掛けにモーフボールを当ててアイテムやポイントを手に入れましょう。また、タッチスクリーンを指でこすると、テーブル (ピンボール台) を揺らしてモーフボールの動きに変化をつけるナッジングが行えます。コースを変えたいときなどに試してみてください。※指で操作する場合は爪などで画面を傷つけないように注意してください。

さまざまな武器を使って敵を倒せ!
サムスはモーフボールでの体当たりや銃以外にも、ボムやミサイルなどのさまざな武器で敵を攻撃できます。状況によって使い分けましょう。

ボムで近くの敵を攻撃!/ミサイルで敵に大ダメージを!/パワーボムで複数の敵を攻撃!

メトロイドプライム ピンボール 取扱説明書 (p.7)


書籍[]

>> サムスを弾け!
『プライム』1作目の世界観をピンボールに落としこんだ異色作。モーフボールとなったサムスをバーで弾き返して遊ぶ。テーブルを行き来して、12個のアーティファクトを集めていくのが目的。振動パック同梱で発売された。

●『プライム』の各ワールドをモチーフにした6種のテーブルが用意されている。オメガパイレーツなど、巨大なボスが出現するテーブルも。
●上下画面を使った縦長の盤面を、モーフボールと化したサムスが飛び回る。場外落下のほか、エネルギー切れにも注意しなければならない。

任天堂公式ガイドブック METROID Other M「主人公サムスの戦いの足跡」(p.173)


ギャラリー[]

脚注[]

  1. Fuse Games on Mario Pinball - IGN
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 『メトロイドプライム ピンボール』開発者インタビュー (WebArchive)
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 Interview: Matthew Nightingale | Shinesparkers
  4. Interview: Bryan Walker | Shinesparkers
  5. ミニゲームを全て発動したかが条件となっており、クリアできたかどうかは問われない。
  6. Metroid Prime Pinball Japanese Commercial (Version 1) - YouTube
  7. Metroid Prime Pinball Japanese Commercial (Version 2) - YouTube
  8. 2010年頃に更新終了。当初アクセス自体は可能でDSの製品ページにリダイレクトされていたが、2023年現在は完全にドメインが手放されている。

外部リンク[]

関連項目[]

メトロイドシリーズ
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未発売 メトロイド64 | タクティクス | プロジェクト・ヴァルキリー
クロスオーバー スマブラ(64 | DX | X | for 3DS | for Wii U | SP) | その他
漫画 マガジンZ | サムス&ジョイ | メトロイドEX
メトロイドプライム ピンボール 関連項目
テーブル フリゲートオルフェオン | ターロンオーバーワールド | アイスバレイ | フェイゾンマインズ | アーティファクトテンプル | インパクトクレーター | ラヴァケイブス
仕掛け キックバック | コンバットソーサー | スキャンソーサー | フォースフィールド | モードソーサー |
アイテム ライフ | ミサイル | パワーボム |アーティファクト | エキストラボール | スペシャルトークン
ミニゲーム ウォールジャンプ | クローンマルチボール | スターシップマルチボール | ストライカーシューティング | スペースパイレーツパニック | トライクロプスアタック | パラサイト | バロワーファイト | ビートルブラスト | フェイゾンチャンス | フェイゾンマルチボール | ミニランプボーナス | メトロイドマルチアタック
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