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メトロイド フュージョン』(Metroid Fusion) は、2003年2月14日に発売されたゲームボーイアドバンス専用ソフト。『メトロイドシリーズ』第4作にあたる。前作『スーパーメトロイド』の正統続編。

解説[]

Title Screen MF

タイトル画面

1994年に発売された前作『スーパーメトロイド』から約9年の歳月を経て発売された『メトロイドシリーズ』第4作目にあたるアクションゲームソフト。オープニング映像中でMETROID 4とナンバリングされており、前作の正統続編となっている。開発元は任天堂第一開発部。過去に『メトロイドシリーズ』を手掛けた坂本賀勇が本作のチーフディレクターおよびシナリオを担当している。前作『スーパーメトロイド』のデータ解析はあまり行わず、『ワリオランドアドバンス』のデータを参照して製作された[1]
2001年5月17~19日にアメリカ・カルフォルニア州のロサンゼルスコンベンションセンターで開催された『Electronic Entertainment Expo (E3)』において、開発段階のゲーム画面の映像が初めて公開された。この時点で「サムスメトロイドの遺伝子を融合させる」というコンセプトは完成しており、それを示唆するPVが現地で放映されていたが、ゲームデザインは実際に発売されたものとはかなりかけ離れている[2]

開発[]

ファン層拡大に向けた改良[]

従来の『メトロイドシリーズ』が持つ良い部分を保ちつつ、ゲームボーイアドバンスならではの新要素を追加し、子供から大人まで、初心者からシリーズファンまで、あらゆる層のプレイヤーが楽しめる遊びやすいゲーム仕様にすることが本作の主な開発コンセプトとなっており、前作『スーパー』と比較して様々な改良が施されている。
ステージ内をくまなく歩きまわり、装備や能力を駆使して抜け道を探したり、アイテムを回収したりする「探索」が『メトロイドシリーズ』の醍醐味であるが、ユーザーが迷ってしまって次の目的地が分からなくなり、ゲームを途中で放棄してしまうことも珍しくはなかった。その対策として、ある程度の探索要素は確保しつつ、1本道で分かりやすいステージ構成に調整を施し、テキストを使用したナビゲーションシステムで次の目的地までの簡易説明を行う仕様を追加した。そのため過去のシリーズ作品と比べると探索自由度が低めになっているが、ゲームをスムーズに進行させることが可能になっている。また、難易度選択が新たに可能となっており、「EASY」「NORMAL」「HARD」の3つの難易度からユーザーが自分のレベルに合った設定を行うことができるようになった[3]
ストーリー面では文章による説明を解禁。ゲーム中の膨大なテキストは、『メトロイド』の世界観やゲームの主人公であるサムス・アランの人物像の掘り下げに大きな役割を果たしている。テキストを通して展開される良質なストーリーを全てのユーザーに楽しんでもらうため、ゲーム開始時に通常の「オトナ向け」と、ひらがなを多用した「コドモ向け」からテキスト表示を選択することができる[4]

GBAならではのグラフィック表現[]

GBAの液晶画面は、過去の任天堂携帯ハードと比較して表示可能な色数が多く、約3万2000色の同時発色が可能だった[5]。これを受けて本作のグラフィック (主に背景グラフィック) は、可能な限り多くの色数を見せるように描きこまれた[6]
シリーズらしさを演出するため、一部の敵キャラクターは旧作に出たものを再登場させているが、過去作からのグラフィック流用は殆ど無く、GBA用に新たに描き起こされている。ビジュアルディレクターの山根知美によると、敵のデザインはスタイリッシュでなく、格好悪いが味のある "昔のタツノコプロアニメ作品の敵キャラクター" を意識して制作したという。これは「味のあるキャラクターは時代を超えて新鮮であり続ける」という山根の考えによるものであり、前作『スーパーメトロイド』でも同様の思想でグラフィック制作を行っていたとのこと[1]

ストーリー[]

サムス・アランの手記より

SR388。かつてメトロイドの巣窟であった魔の惑星。ヒエラルキーの頂点を失った、この星の生物達は、数年という時の流れを経た今、本来あるべき力関係を取り戻しつつあるようだ。

バイオテクノロジー会社「BIOLOGIC宇宙生物研究所 (略称 : B.S.L) 」は銀河連邦から依頼を受け、この惑星における現在の生態系を把握すべく調査隊を派遣した。場所が場所だけに連邦当局は、私に調査隊の警護を依頼した。そして私は、あの惑星SR388へ再び足を踏み入れることとなった。

調査隊のサンプル捕獲は順調に進み調査艇が引き上げようとしたそのとき、私は不覚にも今まで見たこともない生命体に襲われてしまった。

私にとりついた生物の正体は「X」という寄生生物だった。次の着陸地点へスターシップで向かう途中、私は神経中枢を侵され、突然意識を失ってしまった。スターシップはそのままアステロイドベルトに突入し、接触、そして爆発した…。

激突寸前に自動脱出装置が作動し、緊急脱出ポッドが放出された。その脱出ポッドを調査艇が回収し連邦本部に新設された宇宙科学アカデミー内の医療施設に運びこんだ。しかし、到着までの間に「X」は増殖し、私の身体をパワードスーツごと大きく蝕んでいた…。

「心拍数、血圧ともに極端に低下。クランケは依然意識不明、極めて危険な状態。」

バイオ素材でできているパワードスーツは装着時、私の体の一部となることが事態を深刻なものにしてしまったようだ。意識の無い私からスーツを脱がせることはできない。したがって「X」に蝕まれてしまったスーツの大部分は身に付けたまま切り取られてゆき、私の姿をしだいに変化させていった。しかし、私の神経中枢の奥深くまでを侵食してしまっていた「X」を取り除くすべはなく、私の命は絶望的と見られていた。

ところが、唯一の治療法が見つかった。「X」を、除去できるワクチンが、メトロイド細胞から作り出せるというのだ。あの、ベビーメトロイドの細胞組織の一部が連邦によって保管されていたらしい。

すぐにワクチンが作られ投与された。結果、「X」はみるみる消滅してゆき、私は奇跡的に一命を取りとめた。この事実をかみしめながら、今私は思う。

「ベビーは、再び私の命を救ってくれたのだと…」

私の微かな感傷を拒むかのような第一報は、「BIOLOGIC宇宙生物研究所」からであった。今回、SR388で捕獲したサンプル生物が運び込まれた、この巨大な宇宙ステーションからの緊急報告は、意識を取り戻したばかりの私にとって、あまりにも刺激的な内容だった。

「緊急事態! ステーション内 特別保管庫にて、原因不明の爆発事故発生!」

言い知れぬ不安を抑えきれず、私は「BIOLOGIC宇宙生物研究所」への派遣を申し出た。ステーションで起きた事故が、これから始まる大事件の序章に過ぎないということを、そのときすでに、私は察知していたのかも知れない。やがて、私を乗せた最新鋭のスターシップのコンピュータが、目的地が間近にあることを平坦な口調で告げた。

まもなく「BIOLOGIC宇宙生物研究所」に到着する。すみやかに着陸態勢に移れ。

ゲームシステム[]

ゲームプレイ[]

本作はナビゲーションルームにおいてコンピューター「アダム」の指示を受け、行動することが基本となる。そのため次にどう進めばいいのか迷うことがなくなった反面、プレイヤーの行動の自由度は大いに制限されることとなった。

操作方法[]

前作『スーパーメトロイド』はスーパーファミコンのコントローラーを最大限に生かした複雑かつ応用性の高い操作性が特徴的だったが、ゲームハードが携帯機のゲームボーイアドバンスに移行したことを受けて、本作ではサムスの操作性が前作から大幅に変更されている。ボタン数の減少を受けて、Bボタンによるダッシュなどが廃止され、一部のアクションがオミットされている。
操作 対応キー
移動 十字ボタン 左右
高速ダッシュ* 十字ボタン 左右 長押し
銃口を上に向ける 十字ボタン 上
しゃがむ 十字ボタン 下
モーフボール変形* 十字ボタン 下2回
モーフボール解除* 十字ボタン 上
エレベーターの操作
はしごの昇降
十字ボタン 上下
ジャンプ Aボタン
回転ジャンプ Aボタン + 十字ボタン 左右
ショット Bボタン
ビームのチャージ* Bボタン 長押し
ミサイルセット* Rボタン
ミサイル発射* Rボタン + Bボタン
ボムセット* ボール状態でBボタン
パワーボムセット ボール状態でRボタン + Bボタン
マップ画面の表示 STARTボタン
ステータス画面の表示 マップ画面でRボタン
スリープモード画面の表示 マップ画面でLボタン
スリープモード解除 SELECTボタン + Rボタン + Lボタン
操作 対応キー
項目の選択 十字ボタン
項目の決定 Aボタン
項目のキャンセル Bボタン
ゲームのリセット Aボタン + Bボタン + STARTボタン + SELECTボタン

ステージ[]

BIOLOGIC宇宙生物研究所(通称「B.S.L」)が舞台となる。同名のバイオロジー会社が建造した巨大宇宙ステーション。あらゆる自然環境を再現した6つのセクターがステーション下部に接続されており、様々な生物が飼育されている。以下の主要設備・飼育セクターで構成されている。

アイテム[]

エンディング・クリア特典[]

エンディングポスター[]

詳細記事:『メトロイド フュージョン』エンディング一覧
ゲームをクリアすると、サムス・アランのエンディングポスターを見ることができる。ポスターは全13種類。「オトナむき / コドモむき」「難易度」「クリア時間」「アイテム回収率」の4つの要素がポスターの出現条件に関係している。
一度ゲームをクリアすると、タイトル画面の選択肢に「ギャラリーモード」の項目が追加される。ゲームクリア時に獲得したポスターをいつでも閲覧可能。全13種類のポスターをすべて集めると、星マークが表示されるようになる。

HARDモード[]

ゲームを難易度「NORMAL (ふつう)」でクリアすると、次回以降ゲームを開始するときに「HARD (むずかしい)」が選択できるようになる。

『メトロイドプライム』との連動要素[]

同時期に発売された『メトロイドプライム』との連動機能が用意されている。いずれか、もしくは双方のソフトにゲームのクリアデータが入っている状態で、GBAケーブルを使用して両ソフトを接続して『メトロイドプライム』を遊ぶと、以下の特典を入手することができる。
ファミコン版メトロイド
『フュージョン』のクリアデータが必要。GCで初代『メトロイド』が遊べるようになる。一部のボタン配置は異なるが、基本的な仕様はオリジナルとほとんど変わっていない。
フュージョンスーツ
『プライム』のクリアデータが必要フュージョンスーツを着用した状態で『メトロイドプライム』をプレイ可能になる。

他機種版[]

ニンテンドー3DS アンバサダープログラム[]

ニンテンドー3DSの価格改定に伴い、値下げ前にハードを購入した全ユーザーに対して行われた特別措置。2011年8月10日23時59分までにニンテンドーeショップにアクセスした3DSユーザーが対象。過去作品のバーチャルコンソール (FC/GBA) を無償でダウンロード・プレイすることができた[7]
GBA作品のラインナップに本作が含まれており、3DSで『フュージョン』を遊ぶ唯一の手段となっている。

Wii U バーチャルコンソール[]

2014年4月30日配信開始。テレビ画面・Wii U GamePadのいずれかに映像出力が可能。ゲームの途中経過を保存する「まるごとバックアップ機能」や、キーコンフィグなども使用可能。基本的にはオリジナルのGBAソフトと同じ仕様だが、以下の差異が見られる。
  • メトロイドプライム』との連動要素は使用不可
  • ポーズ画面でスリープモードが使用できなくなっている

ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online[]

ゲームボーイアドバンス_Nintendo_Switch_Online_追加タイトル_-2023年3月9日-

ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online 追加タイトル -2023年3月9日-

2023年3月9日配信開始。Nintendo Switch Online + 追加パック加入者がプレイ可能。
初めて情報が公開されたのは「Nintendo Direct 2023.2.9」で、今後の追加予定GBAタイトル一覧において本作が確認できた。その後、パッケージ版『メトロイドプライム リマスタード』発売と同時期に配信開始を告知。これはかつて『フュージョン』『プライム』が同時発売されたことの再現とも見て取れる宣伝方式であった。
ゲーム仕様はオリジナルと同様。「どこでもセーブ」機能により最大4つまでのセーブデータが保存可能。さらにZR + ZLボタン長押しで、時間を少しだけ巻き戻す「巻き戻し」機能も使える。ミスしてしまった際、直前の状態に戻してゲームを再開できる。
Wii U バーチャルコンソール同様、『メトロイドプライム』との連動要素・ポーズ画面のスリープモードは廃されている。

広報[]

テレビコマーシャル[]

本作の発売に合わせて、全国でテレビコマーシャルが放映された。数多くのミュージックビデオやCMを手掛けた、井上靖雄がディレクターを務めた。実写でリアリティーのあるサムスを撮影することに注力しており、3DCGでは表現が困難なパワードスーツを実際に造型し、完成した模型を寄ったアングルで撮影することで、このコンセプトを実現した。映像中では、バリアスーツフュージョンスーツの2種類の模型が使用され、Xに侵されたサムスが一命を取り留め、新たな姿 (=フュージョンスーツ) に生まれ変わる過程が緻密に表現されている[8]
CMで使用されたサムスの模型は非常に精巧で完成度が高く、撮影されなかった側面部なども緻密に作り込まれていた。そのため、雑誌「ニンテンドードリームVol.85」掲載のインタビュー記事「メトロイドの秘密」でも再利用され、開発スタッフ一同 (坂本賀勇田邊賢輔山本健誌の3名) と共に写真に収められ、記事のトップを飾っている。通常、任天堂のCM映像で使用された人形・小道具は廃棄処分されることが多いが、サムスの模型は例外的に、任天堂本社の資料室にて保管されている。[9]

オフィシャルデータ[]

Samus Menu Pose M1 ネタバレ要素を確認: 以降の記述には、ゲーム・漫画などの核心部分について記述されている可能性があります。

書籍[]

>> メトロイドの力を得たサムス
謎の寄生生物Xに襲われ、メトロイドのワクチンにより一命を取りとめたサムス。バイオロジック宇宙生物研究所へ向かい、X掃討を開始する。シリーズでは珍しく、ストーリーに沿って順にルートを進む形式になっている。

●さまざまな生物の姿をコピーした寄生生物Xが襲いかかる。能力もオリジナルのものを受け継いでいる。
●「SA-X」は、サムスの能力をコピーした寄生生物X。終盤までは出会っても逃げるしかないやっかいな相手。

任天堂公式ガイドブック METROID Other M「主人公サムスの戦いの足跡」(p.170)


公式サイト[]

METROID FUSION メトロイド フュージョン
バイオテクノロジー会社「BIOLOGIC 宇宙生物研究所 (略称:B.S.L)」は銀河連邦から依頼を受け、
SR-388 の現在の生態系を把握すべく調査隊を派遣した。場所が場所だけに連邦当局は、
サムスに調査隊の警護を依頼した。調査隊のサンプル捕獲は順調に進み、調査隊が引き上げようとしたそのとき、
サムスは不覚にも今まで見たこともない生命体に襲われてしまった。生物の正体は「X」という寄生生物だった。

メトロイド サムスリターンズ 公式サイト「メトロイドの歴史」


寄生擬態生物「X」登場
バイオテクノロジー会社「BIOLOGIC 宇宙生物研究所(B.S.L.)」は、 惑星SR388の現在の生態系を把握すべく調査隊を派遣。
その警護をサムスに依頼した。
調査は順調に進んだが、その途中サムスは寄生擬態生物「X」に襲われ
意識不明の重体となる。
体内に増殖するXにより身体を蝕まれ、サムスの命は絶望視されたが、
保管されていたベビーメトロイドの細胞の一部から作り出された
ワクチンが唯一の治療法だと判明。
ワクチンの投与により、サムスは九死に一生を得ることと同時に、
Xへの耐性を持つ唯一の存在となった。
そしてサムスはフルスペック状態の自身に擬態したX「SA-X」との壮絶な戦いをも制し、
ついにXを惑星SR388もろとも完全に消滅させることに成功した。

「遊びやすさの向上」
『メトロイド フュージョン』では、武器切り替えや斜め射撃といった操作システムが整理された。また、足場につかまってぶらさがるアクションなども追加されており、サムスのアクションの幅が広がった作品となっている。

開発チームレポート
『メトロイド フュージョン』でサムスに何度も襲い掛かる恐ろしい敵「SA-X」。SA-Xから逃げたり、隠れたりするゲームパートは、突発的なゲーム内イベントとしての側面が強かったですが、それを発展したらどうなるのか? ……という点は今作『メトロイド ドレッド』のE.M.M.I.のゲームパートの着想にも大きな影響がありました。
また、『メトロイド フュージョン』は『メトロイド ドレッド』のひとつ前のエピソードということもあり、サムスのスーツが変化した理由や、コンピューターAI「アダム」の登場など、今作につながるストーリー要素が多くある作品です。

メトロイド ドレッド レポート Vol.04『シリーズ35年のストーリーを紐解く』


ギャラリー[]

紹介映像[]

Wii U VC プレイ映像


脚注[]

  1. 1.0 1.1 1.2 メトロイド フュージョン 制作スタッフインタビュー (WebArchive)
  2. Youtube - Metroid IV (Fusion) GBA E3 2001 Gamestore VHS Clip
  3. 国内版のみの仕様。初プレイ時には「EASY」「NORMAL」の2つから選択可能で、難易度「NORMAL」でゲームをクリアすると「HARD」モードが解禁される。
  4. 国内版のみの仕様。さらに2種類のモードでゲームクリア時に獲得できるエンディングポスターの種類が異なっている。
  5. ゲームボーイアドバンス - 任天堂
  6. 『メトロイド ゼロミッション』 開発スタッフインタビュー (WebArchive)
  7. ニンテンドー3DS アンバサダー・プログラム | Nintendo
  8. METROID OFFICIAL SITE - 気鋭のTVCMディレクター「メトロイド」を語る
  9. ニンテンドードリーム vol.87「任天堂公式Q&A 任天堂の質問箱」(p.128) より。2003年4月当時の情報であり、現在も保存されているかどうかは不明である。

外部リンク[]

関連項目[]

メトロイドシリーズ
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